コロナ禍でイベントが少なくなって、支援センターや児童館の行き来しかない毎日がすごく退屈に感じてしまったんです。同じことの繰り返しじゃなくて、何かもっと面白いことがないかと思って。富士宮のお母さんたちって「お得」とか「循環」とかが好きなのかなと前から感じていたので、2022年の夏にフリマを中心とした「ママフリマ」というイベントの企画運営をしたんです。ハンドメイドやお菓子を作っているお母さんたちにお声掛けして。それが今も続いています。衣替えの季節に合わせて年4〜5回ぐらい20〜30店舗を集めて、時間も子どもたちが小学校や幼稚園に行っている10時〜14時というお母さんたちのゴールデンタイムに設定して、富士宮の文化会館などをお借りして開催しています。
ママフリマがきっかけで、親子の居場所が必要だなってすごく感じました。そこでたくさんの方と出会い、保育士だった経験も生きて、自分の目標が産後ケア施設を作るというものに変わっていったんです。実は富士宮には、病院などに勤務せず必要とされたときに行くフリーの保育士や助産師がたくさんいます。その方たちと話をする機会があったのですが、産後のお母さんの不安ってとても大きいので、そういう不安を取り除ける場所が欲しいねという話になって。そこで、これまで助産所がやっていた産後ケアを私が経営している会社でやる形、企業型の産後ケア施設というものを初めて作ってみないかということになったんです。
産後ケア施設では助産師が必ず1名以上いることで、お母さんの悩み事だったり、赤ちゃんの発達を一緒に聞いたり見たりして、退院後すぐのお母さんと赤ちゃんのケアを行います。産後は栄養をしっかり摂ってほしいので専門の調理師をお呼びして、母乳にも良い栄養満点のご飯を食べてもらおうと考えています。また、上の子がいると産後ケア施設を利用しづらいということもあるのですが、私が保育士の資格を持っているので、上の子も一緒に施設に来ていただき、託児所で保育士と一緒に遊んで過ごせるようにしたいと思っています。場所は浅間大社の近くです。お産の日とも言われている10月10日のオープンを目指して動いていますが、大好きだった保育士の仕事がまたできるんだなと思いました。
今回のプロジェクトを進めるとき、商工会議所や宮信(富士宮信用金庫)さん、市の方にも相談したのですが、皆さん温かくて、とっても応援してくださったんです。その期待に応えて、魅力のあるこの広い自然をもっともっと活かして、富士宮市を子育てしやすいまちにしたい。「子育てするなら富士宮」と全国的にも思ってもらえるようにしていきたいなって考えています。せっかく富士山があるので、幼稚園の親子遠足で富士登山に行ったり、お昼寝はハンモック、焚き火でご飯を炊いたり、畑で育てた野菜で給食を作ったり。その第一歩として産後ケア施設を開設して、出産後はこういった手厚い施設があるんだよ、子どもが大きくなったら自然豊かな大地でのびのびと遊んで過ごせるよ、ということを、これから結婚・出産をしていく方たちに届けていきたいです。