lifestyle interview #02 柚野

地域で働く大人たちの姿が見える子育て環境。
職場から子どもの成長を見守れました。

子どもたちが通う小中学校の通学路と自分の畑や田んぼがほぼ同じエリアにあるので、友だちと一緒に歩いているところとか、毎朝と毎夕学校に通う姿を見ながら生活できたのは、すごく良かったなと思います。それにいろいろな大人たちが周りにいるんです。都市部だとどうしてもサラリーマンの親が多いので、どういう仕事や暮らしをしているかが見えにくい。でもこのあたりだと農業をやっていたり、自営で自動車の会社をやっていたり、地元で仕事してる方も多いので、大人たちの仕事が見えるのは子どもたちにとってもよかったんじゃないかなって思います。それに個人でも田んぼをやってるので、一緒に稲刈りしたりして、自分も役に立てたと子どもたちが感じているのがわかるのもすごい喜びでした。

有機農業のモデルとなる農場になりたい。
いろいろなチャンネルで安定的な経営へ。

農業って自然の外的な要因、台風が来たり、暑すぎるとか雨が降らないとか、そういうものに左右されることが思っている以上に多いし、これからもっと増えていくだろうと思っています。昔に比べて有機農業に参入してくる若い人たちが減っている感じがしていて、それは上手くいくんだろうか、生活していけるんだろうかっていう悩みがあると思うんですよね。だから、こうしたら上手くいくんだよっていうモデルを示せる農場になりたい。ただ、まだそこまでの形になっていないので、農作物を絞り込んで、一つ一つの品目の量を増やしていくことで経営を安定させるとか、最近キッチンカーを導入したんですが、そこで加工品、フライドポテトを揚げて販売するとか、いろいろなチャンネルで収入を確保しながら、複合的に経営を成り立たせていく方法をもっと追求していきたいんです。あと、自然学校として、田植えをしたりジャガイモを収穫したりという体験交流プログラムが、目の前の畑作業に追われすぎて、ほとんどできていない。それをまたやったりして、一つ一つ事業の柱を増やしていきたいと思っています。

心配事は年々深刻さを増していく獣害。
荒れ地を果樹園にし環境を再生していきたい。

今一番心配なのは周辺にある荒れ地から獣が出てくることです。イノシシとか最近はサルも出ます。そうなると、農作業がやりづらい。だから、森のエリアをもっと開拓して、人の活動を増やすことで獣のエリアをもう少しバックさせ、農作業ができる環境を作っていきたい。例えばそこを果樹園にして、果樹の収益をあげながら、農地を管理して獣との距離を取ろうかなと思っています。一方で、今ある農地をどう活用するかを考えることも大事ですが、かつては人口が増えたから中山間地域まで農地を広げてきたわけで、人口が減るならまた森に戻せばいい、人間がセットバックしていけばいい、とも現場では感じています。

魅力的な観光資源がたくさんある富士宮。
地元グループが連携してより良い未来へ。

富士宮は富士山もよく見えるし、地域の資源としても朝霧高原からここ柚野、街中の浅間大社の周辺とか魅力を持った場所がたくさんあって、観光客も多い。僕らの農作物も地元の人だけじゃなくて、道の駅で観光の方たちが買ってくれたり、観光業の方たちが使ってくれたりしています。生産や消費、交流のことを考えても富士宮はかなり有利な土地だと思うんですね。あとは地元にあるたくさんのグループ、お母さんグループ、有機農家グループ、あるいは森作りグループなどがもっとつながって、一緒に良い方向を目指していければいいなと思っています。