lifestyle interview #02 柚野

富士宮に暮らす人のライフスタイルインタビュー。
第二回目は東京で就職をした後、富士宮市のホールアース自然学校へ転職し、
現在は柚野エリアで農業を営んでいる平野達也さんにお話しを伺いました。

社会にダイレクトに届く仕事のために、
持続可能な社会づくりを学び直しました。

大学は社会学部の観光学科で、主に観光業や旅行業など観光関係の勉強をしていました。就職先は法人会員制の保養所やリゾートホテルを展開している東京のリゾート開発会社。仕事自体は楽しかったんですけど、その仕事をずっとやっていくのかと考えたとき、社会にもっとダイレクトに届くような仕事がしたいと思うようになり、もう少し学び直すために大学院に入学しました。大学院自体はフィールドワークが中心で、授業に出席したり、修士論文の発表会などで東京に行くこともありましたが、2年目はインターンシップとして富士宮のホールアース自然学校で活動していました。

ホールアース周辺に増え始めている遊休地を
何とかしようと農業を始めました。

そのままホールアース自然学校に就職したのですが、最初は現場のガイドとして中学生への森の案内とか、一般向けのエコツアーの案内を担当していました。その後、地域資源を活用した自然体験プログラムやエコツアーを組み立てる企画の仕事をするようになりましたが、活動拠点のここ柚野は周りに農地が多く、誰も使わないケースが多くて徐々に空き始めていたんです。そうした遊休地を活用していかないと環境がどんどん荒れていく。ならば自分たちが活動してる地域を中心に農業をやっていこうと。そこで、新しく会社を立ち上げて農業をすることになりました。

知識ゼロから始めた農業は失敗の日々。
会社組織では得られないやりがいのある仕事。

野菜って蒔いた種以上のものはできないんですよね。種を1000粒蒔いたら1000粒以上はできないし、病気や虫、獣にやられたら酷いときは3割も取れない。それを毎年やっていくなかで、自分が失敗したことをとにかく箇条書きにメモして、それを1個1個潰していくというやり方をしてきました。こうやったらどうかなっていうことをやってみて、実際にうまくいったときには学びの喜びがあります。あと、お手伝いの方がいる小さなチームでやっているんですが、メインの作業は基本的に1人なんです。だから、畑で何が起こったのか1から10まで全て見えます。少なくとも自分が関わったことはどういう結果につながるかダイレクトに見えるし、良いも悪いも全部受け止める。会社組織の中の1パートだった一番最初の仕事と比べて、やりがいがある仕事だなって感じています。

有機農家が多く仲間がいることのありがたさ。
生産者と消費者との関係が深い富士宮。

全国的に有機農業が盛んな地域はいくつもあるんですが、農家の数でいったら富士宮も負けていない。自分なりのスタイルを持っていて、仲間としてもお互い情報交換しながら一緒にやっていける関係にあります。そういう仲間が少ない地域もあるので、富士宮はすごくいいなと。あと、感覚的には地元の人が地元の野菜をすごく食べる。特に落花生の時期なんかだと、出したらすぐ地元の方が買ってくださる。そういう文化があるのかなと思うんですよね。だから遠くに出荷するよりも、地元コミュニティの中で「食べたよ」と言われたり、援農に来てくれたりとか、消費者との関係性をより深く築ける地域だなと強く感じています。