lifestyle interview #01 上井出

富士宮に暮らす人のライフスタイルインタビュー。
第一回目は千葉県出身で東京で大学生活を送った後、
ご主人と共に富士宮の猪之頭に移住した長田佳代さんと、猪之頭で生まれ育ち、
現在は東京芸術大学院生の長田芽以さんにお話しを伺いました。

大学卒業後、富士宮市にアトリエを構えた夫。
結婚して猪之頭地区に移り住みました。

千葉県松戸市の出身。幼稚園の頃から絵画教室に通い、大学は日本大学芸術学部の絵画を専攻。結婚するまでは実家暮らしでしたが、大学の同級生だった夫が義実家に近い富士宮市の猪之頭にある一戸建てをアトリエとして使っていたので、結婚してそこに移り住みました。車が無いと不便な地域でしたので、ペーパードライバーとしては運転が大変だったり、知り合いが全くいなかったのが少し寂しかったです。今、富士宮市に来て30年近くになりますが、最初の5年は地に足がついていないような感覚だったのを思えています。市内の学校で非常勤講師として美術を教えていましたが、夫の仕事が軌道に乗るとともに子ども(芽以さん)を授かったことで、美術関係のお友だちに加えて、地域や学校のお友だちが徐々に増えてきて、やっと「この場所で生きている」という感覚が生まれました。

すごく寄り添ってくれた小中学校時代。
他の学校とは違う学びの時間がありました。

学校が山の中にありましたので、小学校の規模も小さく全校で60人くらいでした。保育園から中学校まではほぼ同じメンバー。球技をやるときに人数が足りないなんて時もありましたが、それが当たり前でしたので、少ないという感覚は町の高校に行くまではありませんでした。人数が少ないので、1年生から6年生までの全員が参加する夏の合宿がありましたが、みんなでキャンプファイヤーをしたり、ご飯を作ったり、今でも楽しかった思い出ですね。中学校はすごく寄り添って勉強を教えてもらいましたが、それも小さな学校ならではと思います。また、林業について学ぶ時間もあったりと、他の学校とおそらく違う授業も思い出深いです。

芸術家を呼び寄せる富士山と自然。
美術のきっかけは両親の元に集う大人たち。

芸術関係の知り合いが多い両親と暮らす中で美術に触れる機会がとても多く、小さいころから絵もよく描いていました。子どもって大人はつまらないという印象を抱きがちだと思うのですが、両親の周りに集まる大人たちはみんなすごく面白い人が多くて。デザイナーや陶芸家の家族だったり、ガラス工房、染色家、画家。よく集まってパーティーをしていました。ほんとに楽しそうにしているのが羨ましくて、その仲間に加わりたくて美術を志そうと思ったのかなと今は思います。
また、父の知り合いの映像作家さんが富士山や樹海を舞台に作品を制作していて、小学校高学年から中学、高校ぐらいまでそのモデルをしたことがあったのですが、それもひとつのきっかけになったのかなと思います。

小さい学校ならではの先生との強い絆。
都会にはない豊かで贅沢な子育て環境でした。

保育園に入るまでは自分で育てたい気持ちがあったので、年中組からお世話になりましたが、富士宮は都会のような待機児童の問題もなくすんなり入園できました。小規模だから子どもたちと先生との関わりが強く、とても大事に育ててもらった気がします。仕事で大変なときはお友だちが助けてくれたり、とても恵まれた環境で子育てができたかなと思います。
子どもがたくさんいる都会と違って、一人ひとり活躍する場がたくさんある教育もとても魅力的でした。また、地域の方々の温かさやおおらかさも身にしみて感じましたし、スペースが広いことや地元の野菜がご近所で手軽に買えるということも、都会では感じることができない、とても豊かで贅沢な暮らしだったと思っています。