富士宮市地域おこし協力隊を続けていく過程で色々な方にお会いする機会が増え、様々な関係性を構築できたことで、協力隊の仕事も「言われたことをやる」というスタンスではなく、目的の実現に向けて自発的に動きたいと考えるようになってきました。

そんな時に、ご縁があって岡山県笠岡市の地域おこし協力隊の方と繋がる機会があり、実際に視察もさせていただいたのですが、岡山県は協力隊同士の連携が緊密に取れていて、例えば料理ができる方と農業ができる方同士が連携して商品を開発したりといった広域での活動が盛んに行われていました。
その方のアドバイスもあり、協力隊同士の連携のためのネットワーク作りに取り組むことにしました。その結果地域おこし協力隊としての活動の幅が広がっただけではなく、なるべく広域で活動するための地盤づくりにも繋げることができたと考えています。

そしてその地盤を活かすための、「移住体験ができる民泊施設」を始めたらどうか、と考えました。

宿泊を伴う事業を始めるにあたっては、移住という部分での地域おこし協力隊の活動の延長線上にある事はもちろんのこと、広く地域おこしを行っていくにあたって、他の地域ともう少し踏み込んだ連携ができる場所でもあると考えています。

民泊・移住体験施設を始めると決めて、最初の壁は空き家探しでした。
市の担当の方に相談したり、自分の中でも候補をあげて探していましたが、なかなか思うような空き家に行き当たりませんでした。
ただある時、芝川商工会の方から地域の事業者さんをご紹介いただき、その事業者さん経由で”これだ！”という物件を探し当てることができたんです。”これだ！”と思った理由は、立地や空き家の状態だけではなく、その事業者さんや、物件を管理されていた大家さんがとても親身に対応してくださったことでした。ここなら僕が移住者を連れてきた時に、一番重要な地域とのつながりが体験できる場所だと感じました。

家屋の改築などオープンの準備が進む中で、移住体験の宿泊に興味を持つ方たちが徐々に集まってくるようになりました。
移住のファーストステップとして、不便さも含めた移住体験とその具体化ができる施設になると思います。
この不便さって、今の世の中いくらでもカバーできると思うんです。その中で住む場所がどこになるにせよ、一番大事なもの譲れないものが何なのかを見つめ直すきっかけになればとも考えています。

私が国内旅行業務取扱管理者の資格も取得したので、移住体験と連携したツアー作りも考えています。
例えば農業をやりたくて移住してこられる方であれば、地域の農家の方のお手伝いができる農業体験といった、地域の方たちにとってもメリットとなるようなツアーも考えています。
また、地域の草刈りや消防団への参加など、地域に住まないとできない事の体験を通して、観光だけではないリアルな移住体験ができます。

他にも、「キャン×スポ＠朝霧」のような地域の事業者さんと一緒にツアーを組むことで、着地型観光ツアーを企画していきたいと考えています。
いきなり移住を提案しても無理があるので、移住から少しハードルを下げた「関係人口」構築のためのツアー作りができればと。
地域との接点があるとその地域に愛着がわきます。その結果移住に繋がる、その流れを作っていきたいと思っています。

富士宮には、富士山だけでなく誇れるものが他にもいっぱいあると思います。
そういったものを地域おこし協力隊であるうちになるべく外にアピールする機会を増やすことも積極的に行って、富士宮の事を少しでも多くの人に知ってもらえるように、人が集まる色々な仕掛けをしていきたいと思っています。