移住者インタビュー アドリ株式会社 小河さん
「富士の雅ネギ」を生産し、農林漁業奨励賞や環富士山名物グルメグランプリ2023金賞を受賞するなど、農業のイメージを変えるべく奔走する青ネギ農業生産法人アドリ株式会社の小河さんに、富士宮市に移住した経緯や生活の様子を伺いました。
アドリ株式会社 小河 麦人さん
移住しようと考えたきっかけや経緯を教えて下さい。
私は奈良県出身で、もともと大学では量子力学を勉強していたんです。在学中に日本の食料自給率をあげることに興味を持ち始め、それがきっかけで農家さんに資材を販売しながらコンサルティングやアドバイスを行う会社に就職したんです。
その会社で経験を積み、さらに日本の農業の活性化を目指して自分でも生産を行うことを決めました。
農地取得の許可を取るための研修を受けながら地元の奈良県で農地を探しましたが、なかなか条件の良い農地なく、探し続けていた時に知り合いから富士宮市の農地を紹介されたんです。
大学の同級生と会社を立ち上げて、紹介された上条の農地で勉強も兼ねて事業をスタートさせました。始めは単身で富士宮に住みながらの生活でしたが、1年間の研修が終わったタイミングで独立し、家族を呼び寄せました。
移住後の生活はどうでしたか?
農業の仕事をしている関係で、市役所の農業政策課とはずっとやり取りがあったので、移住に際して市役所にも相談させてもらって、様々な支援があることを知りました。
その支援で住む家を探したのですが、条件に合う家がなかなか見つからなかったため、生まれたばかりの子供がいて、妻も運転が不慣れだったこともあり、生活に便利な場所を優先し住む家を探しました。
でも保育園もすぐ見つかりましたし、スーパーやコンビニも歩いて行ける所にあるので生活面ではとても便利です。もし今後家を立てることになっても同じエリア内に建てたいと考える程です。
ご家族の反応はどうでしたか?
研修が終わって家族を呼び寄せるタイミングで妻はお腹に赤ちゃんがいたので、色々大変な思いをしたと思いますが、「何としてでも稼ぐ!苦労はさせない!」と言って納得してもらいました。
実際に移住してきたのは夏で、上の子供は2歳、生まれたばかりの赤ちゃんは2か月という一番大変な時でした。秋になって市役所に相談して、家から近い保育園にちょうど空きがあった事もあって、子供を預かってもらうこともできました。
ご近所付き合いは独特でしたけど、それなりに回すこともできていますし、あまり「移住してきた」という事を感じることもありませんでした。
私の両親は移住することに反対するどころか、羨ましがっていました(笑)。富士山があって気候も温暖なので。
僕は関西人なのでラーメンが大好きで、奈良にある美味しいラーメン屋に通えなくなる寂しさが一番大きな問題でした。個人的には将来そのラーメン屋さんを富士宮でフランチャイズ展開したいと考えているくらい好きなので。
妻は「Manneken」のワッフルが好きだったので、それが食べられない生活に寂しさはあったみたいです(笑)。
富士宮に移住して驚いたことはありますか?
富士宮に来て一番びっくりしたのは、水が綺麗だったことでした。その辺を流れる側溝の水ですら透明で匂いもなく、以前自分たちの住んでいたところでは考えられない事だったので。
富士宮はほかにも美味しい食べ物がそろっている印象です。一次産業が盛んで、豚も牛も鳥もあって、ニジマスも美味しいですし。ちょっと北上すると北海道のような酪農地帯が広がっている事にも驚きました。
ほかには、富士宮の方はとても穏やかだな、と思いました。せっかちな関西と比べるとびっくりすることが多くて。接客にしても従業員の方でセカセカと仕事をしている方が少ない印象です。関西人は動く歩道でも歩くので。
これから移住を考えている方に向けて
富士宮は仕事がしやすいと感じています。以前、奈良の橿原市という大阪のベッドタウンのような地域に住んでいたのですが、大体がサラリーマン家族が多くて、自分でご商売されている方はあまりいませんでした。でも富士宮は商売人がとても身近にいて、そういう方とつながりやすい。仕事をすると誰かと繋がって、またそこから繋がりが生まれて、というふうに仕事しやすい環境なんだと思います。
自分たちが農業で使う堆肥でも、その繋がりが元になってとてもいいものを仕入れることができて、作物の品質も凄くよくなりました。
他にもビジネスについての相談がしやすくて、色々な方を紹介してくれる土壌がある地域だなと感じます。
子育てしているご家族の方にとっても、住みやすい土地だと思います。実家のある関西の公園ではボール遊びや凧揚げも禁止されていますが、富士宮ではそんなこともなく、子供はのびのび遊んでいます。富士宮の富士山本宮浅間大社にある神田川ふれあい広場もそうですけど、自然にふれる場所がとても多いと思います。
かといって不便なわけでもなく、本当にちょうどいい田舎だな、と思います。
アドリ株式会社 小河麦人さん
■出身地 奈良県吉野町
■移住した時期 2016年
■HP : http://adre.co.jp/
■X(旧Twitter): https://twitter.com/fujinomiyabineg